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取引戦略レポート

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図表2 2月限プットオプション価格(2月6日時点)

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2021年6月、東京証券取引所が公表したコーポレートガバナンス・コード(以下、CGC)の改訂版に、初めて知的財産に関わる項目が盛り込まれました。具体的には、「情報開示の充実」の項目の補充原則で「経営戦略の開示に当たって、(中略)人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである」「取締役会の役割・責務」の項目で「(知的財産の投資について)取締役会が実効的に監督を行うべきである」と述べられています。さらに2021年9月には内閣府設置の検討会 1 がCGC改訂への対応に関する中間指針 2 を公開しました。つまり今回のCGC改訂は、企業に対し、積極的な知的財産への投資や事業への活用を促し、それを投資家に情報開示していくことを求めていると言えます。そこで本稿では、このCGC改訂に速やかに対応するための「知的財産戦略のあるべき姿」についてご紹介します。

1.グローバルで勝ち続けるために高まる、知的財産(知財・無形資産)の重要性

2.知的財産の再定義とその範囲

図1 知的財産の範囲と知財戦略に求められるポイント

図 知的財産の範囲と知財戦略に求められるポイント

3.暗黙知も含めた知的財産の可視化と活用戦略

図2 CGC改訂に伴う企業対応プロセス

図 CGC改訂に伴う企業対応プロセス

2 今後の知財・無形資産の投資・活用戦略の構築に向けた取組について~改訂コーポレートガバナンス・コードを踏まえたコーポレート・ガバナンス報告書の提出に向けて~ 取引戦略レポート (2021年9月:知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会)

株式市場が急落する中で収益を獲得した投資戦略-2020年1-3月期の各種ヘッジファンド戦略のパフォーマンス | ニッセイ基礎研究所

株式市場が急落する中で収益を獲得した投資戦略-2020年1-3月期の各種ヘッジファンド戦略のパフォーマンス

金融研究部 准主任研究員・ESG推進室兼任 原田 哲志

リスク管理 年金資産運用 などの記事に関心のあるあなたへ

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1――2020年1-3月期は幅広いヘッジファンド戦略のパフォーマンスがマイナスに

各戦略のリターンは、悪い順から、イベントドリブン戦略 ▲14.7%、ディストレスト戦略 ▲9.7%、株式ロングショート戦略 ▲8.8%、M&Aアービトラージ戦略 ▲6.8%、転換社債アービトラージ戦略 ▲5.取引戦略レポート 3%、グローバルマクロ戦略 ▲4.2%、株式マーケットニュートラル戦略 ▲2.3%と幅広い戦略類型でマイナスとなった。一方で、ボラティリティトレーディング戦略 +10.2%、オプショントレーディング戦略 +2.8%、CTA戦略 +1.8%と一部の戦略はプラスの収益を獲得した。各戦略のパフォーマンスの背景についてみていきたい。

図表1 ヘッジファンドの戦略類型毎のパフォーマンス(2020年1-3月期)

図表2 世界のM&Aの件数・金額の推移

図表3 ディストレスト債と高格付社債のパフォーマンス推移

2――ボラティリティトレーディング戦略などが収益を獲得

こうした戦略のヘッジファンドの中には、極めて大きな収益を獲得したファンドもある。Bloombergによれば、「ブラック・スワン」 1 の著者であるNassim Nicholas Taleb氏が助言するUniversa Tail Fundは2020年3月に+3,612%という非常に高い収益を獲得した。

図表4 日経平均プットオプションの行使価格毎のパフォーマンス推移(2020年1-3月期)

1 「ブラックスワン」は、人間の思考とリスク・不確実性の関係などについて論じている。2007年に原著刊行、150万部以上を売り上げ、経済・金融関係者などの話題となった。
ナシーム・ニコラス・タレブ(著)、望月衛(翻訳)(2009)、「ブラック・スワン―不確実性とリスクの本質」、ダイヤモンド社

プットオプションの買い戦略 (その4)

2018年1月下旬、日経平均株価が22,000円から大相場を演じて24,000円に到達した場面を見てみましょう。
株を買い持ちしている人は、わが世の春を謳歌していました。
こんな時、例えば3,000円も下のP21000のオプションを買って利益になると思う人がどれくらいいるでしょうか。
P21000のプットオプションを買うということは、満期日においては日経平均が大きく下落して21,000円を割り込んだら、その割り込んだ分をすべて売り手からもらえるというルールですから、買い手としては3,000円も下落するという可能性が低いと思うならば、そんな商品にお金を払うことはしないでしょう。
実際、1月23日に終値で日経225miniが24,135円を付けた日のプットオプション(満期日2月9日)の価格は図表1の通りです。

2月限プットオプション価格(1月23日時点)

図表1 2月限プットオプション価格(1月23日時点)

2月限プットオプション価格(2月6日時点)

図表2 2月限プットオプション価格(2月6日時点)

24,000円を超えた1月23日からなんと2,620円も下落し、2月6日の日経225miniの終値は21,515円でした。
満期まであと3日しかないにもかかわらず、まだ500円も離れているP21000は200円もの価格がついています。
1月23日時点のなんと100倍です。
当初2,500円以上も下だったP21500がもはやアット・ザ・マネー(原資産価格と権利行使価格が等しい状態)となり、残り3日にも関わらず400円もの価格となりました。(図表2)

5月限プットオプション価格(5月8日時点)

図表3 5月限プットオプション価格(5月8日時点)

このように、相場変動が大きいか小さいかの市場参加者の予想次第でオプション価格が高くなったり安くなったりするわけです。
相場変動の大きさの予想を数値化したのがIVということです。
相場変動が大きくなると予想することは、最終的な受け渡し額が大きくなる可能性が高まることを意味し、このような判断をする人が多くなれば、結果的にオプション価格が上昇することになるのです。
このような相場変動が大きくなるという予想によってオプション価格が上昇したことをもって、IVが上昇したと説明するのです。

IVが跳ね上がる相場でプットオプションは大きく上昇

P21000 2,000円 ⇒ 200,000円(利益198,000円)
価格変化の要因 = デルタの変化による価格上昇 + IVの上昇による価格上昇

図表4 日経平均VIの月足チャート

オプションは権利行使価格ごとにそれぞれ異なるIVの値を持っていますが、日経225オプションの各銘柄のIVを指数化したものが日経平均VIであることはすでに説明しました。
2008年のリーマン・ショックの時、90超を記録しています。
2015年のチャイナショックの時は50をうかがうような動きをしました。
2018年2月上旬も前日比で100%の上昇があった日がありました。

Weeklyオプションを利用した実践戦略

図表5 日経225mini直近限月、日経平均VIの推移と投資戦略のシミュレーション結果

「統合報告書」を読めば企業が分かる。拡大するESG投資に向けた新しいレポートのカタチ

「統合報告書」を読めば企業がわかる? 拡大するESG投資に向けた新しいレポートのカタチ

そうですね。企業は「アニュアルレポート」(年次報告書)で事業戦略や会社の強みに関する情報を発信してきました。その後、環境問題や企業の透明性と説明責任への期待の高まりなど、事業環境に大きな変化が起こり、2006年には、ESG(環境、社会、ガバナンス)の観点を投資判断に反映させるべきとの責任投資原則(PRI)が国連から提唱されました。これをきっかけに企業に対するESG情報の開示要求が高まり、IIRC(国際統合報告委員会。現Value 取引戦略レポート Reporting Foundation)が財務・非財務の両面から企業の成長戦略を報告する枠組みである「国際統合報告フレームワーク」を公表しました。従来の財務情報を中心とした情報開示ではなく、ESG要素を盛り込んだ、中長期の成長ストーリーの訴求が求められています。

企業の開示資料

企業の開示資料

「統合報告書」でソフトバンクの何がわかる? 注目コンテンツはこれ

「統合報告書」でソフトバンクの何がわかる? 注目コンテンツはこれ

「価値創造プロセス」を明確にすることですね。ソフトバンクの成長戦略は「Beyond Carrier」。今年6月の株主総会でも宮川社長は「ソフトバンクはもはや通信会社ではない」と述べているように、われわれのビジネスモデルは変化してきています。ソフトバンクが持つアセット(資産)は何か? それらをどうビジネスとして回していくのか? そして企業として最後にどのような姿を目指すのか? こういった「価値創造プロセス」を投資家は注目しています。

「統合報告書」でソフトバンクの何がわかる? 注目コンテンツはこれ

「統合報告書」でソフトバンクの何がわかる? 注目コンテンツはこれ

ソフトバンクは創業者の孫正義のDNAを継いでいますが、独立した上場会社です。コーポレート・ガバナンスがきちんと機能しており、社長交代は “鶴の一声” で決まるわけではないことをつまびらかにお伝えしたいと考えました。そこで当社の役員選任の仕組みが機能していることを明らかにするため、経営陣の選解任を議論する指名委員会の堀場委員長にインタビューして、新社長が決まった経緯などを説明していただきました。

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クラウドの潮流――進化するクラウド・サービスと変化する企業の意識

人的資本に関する情報開示を人材戦略の再点検の良い機会に

経営DXコンサルティング部 松岡 佐知、細川 幸稔

3つの流れを背景に、人的資本の活用への注目度が高まっている

――今回、「人的資本」関連の項目が加わった背景を教えてください。

こうした流れを受けて、グローバルで活動する機関投資家が投資先との対話で人的資本をテーマにしたり、SEC(米証券取引委員会)が人的資本の情報開示を義務化したりしました。日本でも、経済産業省が人材版伊藤レポート ※1 を公表。より明確に経営戦略と人材戦略を連動させ、それを投資家にもわかりやすく説明すべきだという指摘があり、それが今回のコーポレートガバナンス・コード改訂にも反映されています。

図表:2021年6月改訂のコーポレートガバナンス・コードから、人的資本関連部分を抜粋。新規追加した補充原則において、人的資本に関する開示と取締役会による実効的な監督を求めている。特に補充原則3-1③に関しては、特定の事項の開示を求める原則に該当するため、原則実施に際し、特定の事項を開示することが求められる。

自社の人材戦略や目指す姿をデータで説明する

――どのような情報を開示すべきなのか、ポイントを教えてください。

――単なる情報の公表ではなく、意図をもって伝える必要があるのですね。それに対応しようとする際に、どんなハードルが考えられますか。

ステークホルダーとの対話を深める前向きな機会にする

――これから検討する企業にとって参考になりそうな開示事例はありますか。

松岡 人材版伊藤レポートの中で、いくつかの事例が取り上げられています。ある企業は、サステナビリティレポートの中で、全社の経営課題の中での人事課題の位置づけを示し、人材戦略で重視する内容に紐づけてKPIを設定し、進捗状況を開示しています。しかし、日本企業は、海外の先進企業と比べてまだ情報開示に慎重になっておられます。人的資本の情報開示の枠組みとして、2018年にリリースされた国際標準ガイドライン「ISO30414 ※2 」があり、海外ではドイツ銀行など認証取得企業が生まれていますし、認証を取らなくとも、そこで定められた11カテゴリの58指標をうまく使って開示している海外企業もあります。日本企業も、こうした指標も視野に入れつつ、自社にとって戦略的に重要だと考え、強みとしてアピールできるところから開示することが第一歩になると思います。

細川 個々の企業が人的資本経営という観点から自社の人材戦略を再点検する(自社の人材戦略が経営戦略に連動しているか、過不足はないかを確認する)ことが求められると考えます。そのうえで、経営戦略と連動した人材戦略を明確にし、定量的な指標を用いて見える化を進めることで、投資家との対話だけでなく、社員との対話にも役立つと考えます。これらの一連の取組みを行ううえでは、経営陣のイニシアチブが欠かせません。
見える化を通じた対話により、自社の戦略に対する投資家の理解が深まり、社員への定着を通じて経営戦略と連動した人材戦略の実効性が高まることが期待されます。さらには、学生等への人材市場へのアピールにもつながるかもしれません。コーポレートガバナンス・コードに対応するからではなく、これを前向きな機会と捉えて、できるところから取り組んでいただくとよいと思います。

図表:NRIの考える人的資本経営のあり方

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