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犯罪心理学の犯罪原因論2:性格特徴・人格構造の要因 (2022)

犯罪行動の原因として性格特性(人格構造)や知能水準を想定する仮説は19世紀以前からある。遺伝的な知能水準の低さが『判断能力の低さ・社会適応の悪さからの犯罪』につながると考えたのは、カリカック家の犯罪の家系研究で知られるH.H.ゴダード(H.H.Goddard)であった。ゴダードは少年院に収容された非行少年の知能指数を検査して、平均的にその半数が『精神薄弱・精神遅滞(知的障害)』であり、知能が低ければ既存社会に適応できずに非行・犯罪に走りやすくなるという仮説を提唱した。

成人になると、明確な知的障害のある累犯者が多くなる一方で、犯罪者と一般人の間での知能指数の有意な差は殆ど見られなくなる。現代の先進国では、児童期から知的障害児・発達障害児の発育を支援するための『特別支援学級』が普及したり、知的障害者や発達障害者の就労・生活を支援するための『社会福祉制度(就労支援・自立支援・公的扶助)』が充実しているので、かつてと比べて知能が低いから発達に偏りがあるから、社会に適応できずに犯罪に走るしかなくなるという事例が減少傾向にあるとも言われる。

イギリスの心理学者ハンス・アイゼンク(Hans Jurgen Eysenck, 1916-1997)は、犯罪者の遺伝的な性格特性としての『外向性・行動力・道徳性の欠如・社会化の困難』が犯罪につながると仮定して、犯罪者は生まれながらの遺伝的性格要因によって『社会化・道徳化するための学習(条件づけ)』が成立しづらいと考えていた。

犯罪の性格的要因としては、『欲求不満に対する耐性・適応』がないから、自分の満たされない欲求を反社会的・非合法的な手段で何とか満たそうとして犯罪を犯してしまうという『フラストレーション(欲求不満)‐攻撃仮説』に注目した考え方もある。アブラハム・マズロー(A.H.Maslow, 1908-1970)のよく知られた『欲求階層説』と照らし合わせて、それぞれの欲求を満たそうとする反社会的・非合法的な手段や行動を考えてみると、『犯罪の動機・目的』が見えやすくなることがある。

安全・安心の欲求……危険(脅威)を回避して安全な生活や安心できる環境を守りたいという欲求。自分と敵対している相手を先制攻撃で傷つけたり、自分に不安・威圧を与えている相手を脅迫したりする犯罪を犯しやすくなる。

所属・愛情の欲求……集団に所属して自分の役割・居場所を見出したい、他者や集団に愛されたいという欲求。学校や家庭に居場所を見つけられない子供がひきこもりになったり非行に走りやすくなったりする事は多い。自分が好きな相手から愛されないことを不満に思って、ストーカー化したり殺傷事件を起こしてしまうようなケースもある。

承認欲求……他者に自分の行動や存在価値を承認(賞賛・評価)されたいと思う欲求。合法的な手段では他人に注目されず認められないことを不満に思い、派手な劇場型犯罪やマスメディアを騒がせる愉快犯(飲食物への異物混入など)・凶悪犯罪を行うことで、自分の歪んだ承認欲求(過剰な承認欲求)を満たそうとすることがある。

自己実現欲求……潜在的な可能性や本来の自己を開発して、自分の存在価値(表現欲求・社会への関与)を実現するような欲求。自分の才能・知識・可能性を駆使して今までにない完全犯罪や異常犯罪(テロリズム)を計画するなど、犯罪そのものを芸術化(ゲーム化)したり自己目的化したりする特殊な犯罪が実行されるケースがある。

犯罪の原因としての性格要因:シュナイダーの精神病質

ドイツの精神科医・精神医学者のクルト・シュナイダーは、以下のように『10種類の精神病質(異常性格)』を類型化して、サイコパス(精神病質)を精神病ではなくパーソナリティー障害(人格障害)に似たカテゴリーで取り扱おうとした。

3.自己不確実型……自分の行動や存在に対して確信を持てず、日常の小さな問題や悩みに捕われて不安になってしまう性格(=敏感型の自己不確実者)。自分の定めた習慣や社会的な規則に強迫的に従ってしまい、自由な行動ができなくなってしまう性格(=強迫型の自己不確実者)。

一般的に犯罪者に多い性格特徴として上げられるのは、『自己中心性(他者への想像力の欠如)・攻撃性(他者への怒りがすぐに暴力となる)・感情易変性(気分の浮き沈みが激しく不安定)・冷酷性(他者の苦痛や恐怖、懇願に共感しない)』などである。しかし、こういった犯罪者に多いとされる性格特徴には、わがままで自己中心的だから自己中心的、殴って暴れて暴力的だから暴力的、他人が恐怖を訴えているのに無視して殺したという冷淡さがあるから冷淡な性格といった『同語反復(トートロジー)』になってしまっている可能性もある。

犯罪の原因となる性格特性としてゴッドフレッドソンら(Gottfredson et al, 1990)が重視しているのは、自分の欲求・衝動・行動を適応的に統制することができないという『自己統制の低さ(lost of self-control)』であり、自己統制が低いことによって『間違った行動選択(犯罪行為の選択)』をすることになってしまうのだと予測した。自己統制の低さだけではなく、社会や他者に対する不信感が強かったり過去のトラウマ(心的外傷)があったりして、他者の行動や社会の対応を自分に対する悪意ある攻撃として解釈してしまう『認知の歪み』『パラノイア(偏執狂)的な被害妄想』も犯罪の要因になるというスワンソンの犯罪研究もある。

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